kenny0808’s diary

小学校教員の日記。作文・読書教育。つくり手になる学びを探究する。

学校目標と7つのエッセンス

重なる教育の目的~理想の人間像(子ども象)

 

「学ぶ意欲を持ち、人と豊かに関わるしなやかな子の育成」

勤務校の学校目標です。 うん、よい目標だ。

じゃあ、具体的にどんな子ども像を掲げているかというと…

  • よく考える子
  • 思いやりのある子
  • 創造し、実践する子

と記されている。

 

「よく考えるってどんな感じ?」

「思いやりのある子って、どんな子だろう?」

「創造するというと?」

 

一つ一つな言葉を具体に落としていく。そんなやりとりを重ねたいんだけど、「大人の対話の時間」をつくるのってそんな簡単なことじゃない。 じっくりと対話し、時には対立もしながら、ともにつくっていくプロセスを重ねる。その価値を実感している大人たちは、子どもたちにも対話で決めていく場を委ねることができるんだろうな。

 

はてさて、そんなことを言っても、今のボクの立場でどうこうできることではないので、既存の目標を大いに活かすしかない。ってことで、大元である学習指導要領も眺めてみたんだな。学習指導要領は10年ごとに改訂されるけど、ここは変わらない。一条校共通の目的だ。

 

教育基本法(教育の目的)

第一条 教育は、人格の完成を目指し、平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない。

引用先 文部科学省のホームページhttps://www.mext.go.jp/b_menu/kihon/about/index.htm

 

「平和で民主的な国家及び社会の形成者」を育てることが教育のゴール。

その目的を実現するために、次のような目標がかかげられている。

 

第二条 教育は、その目的を実現するため、学問の自由を尊重しつつ、次に掲げる目標を達成するよう行われるものとする。一 幅広い知識と教養を身に付け、真理を求める態度を養い、豊かな情操と道徳心を培うとともに、健やかな身体を養うこと。
二 個人の価値を尊重して、その能力を伸ばし、創造性を培い、自主及び自律の精神を養うとともに、職業及び生活との関連を重視し、勤労を重んずる態度を養うこと。
三 正義と責任、男女の平等、自他の敬愛と協力を重んずるとともに、公共の精神に基づき、主体的に社会の形成に参画し、その発展に寄与する態度を養うこと。
四 生命を尊び、自然を大切にし、環境の保全に寄与する態度を養うこと。
五 伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと。

引用先 文部科学省のホームページhttps://www.mext.go.jp/b_menu/kihon/about/index.htm

 

うんうん、学校目標や具体的に伸ばしたい力とも重なる。そりゃそうだよね。大本は学習指導要領に準じているのだから。1つ1つの目標をよく見てみると、自分がチャレンジしているサークルタイムや自由進度算数、作家の時間など…それぞれの目的と教科の目標と合わせて伝えれば説得力が生まれそうだ。

 

さらに、最近くりかえし読んでいるイエナプランの本も目が離せない。温かい言葉で語られるイエナプラン校の学校観や教育観は、日本の学習指導要領に通ずる部分がある。

 

終末のページで、オランダ・イエナプラン協会会長のピーター・ファンデイクは学校の意義をこう語っている。

「学校は何をするところ」

 子どもたちはイエナプランスクールで共に働くことによって、後に社会において、平和で民主的な社会を共同で築いていくことができるようになるために学んでいるのです。他者と共に働くことは、一人で働くよりもずっと大きなことを達成することにつながります。そこで生み出される全体の力は、一人ひとりの力の総和以上のものになるのです。それを達成できるように、子どもたちは、お互いにコミュニケーションをとったり、一緒に何かに取り組んだり、計画をしたり、生み出したり、リフレクションをしたり、プレゼンテーションをしたり、互いに責任を持ち合ったりすることを学ぶ必要があるのです。

*1

 

「平和で民主的な社会を共同で築く」言葉はちがえど、イエナプランも日本の一条校も目指しているゴールは同じなのだ。ただ、そこにたどり着くまでの対話量には圧倒的な差がある。自分たちの腹に落ちていないから、自分たちの言葉で語ることができない。やはり、大人が対話すること。ここを諦めたくない。(簡単じゃないから、まずは手元のことから小さな対話を・・・)

 

7つのエッセンスの導入

2学期後半より、授業づくりと子どもたちの自己評価に、イエナプランの「7かけ7」7つのエッセンスを取り入れてみた。7つのエッセンスは、平和で民主的な社会を共同で築いていくための理想的な人間像を7項目に分けてまとめられている。

 

  1. 物事に自ら積極的に取り組み
  2. 計画を立てることができ、
  3. 他者と協働でき、
  4. 何かを生み出すことができ、
  5. それをプレゼンテーションでき、
  6. 自分の努力について考えたり振り返ることができ
  7. 責任を負うことができ、また負いたいと考えらえる人間です

 

 上のエッセンスの内容は、学習指導要領が掲げている方針と何ら矛盾することはない。日々の実践の中にしっかりと目標をもって、こうしたエッセンスを組み込んでいく。勤務校の教育目標にも照らしながら、日々の教育活動を学校としてのビジョンありきで進めていければなと思う。ぼく個人の願いではなく、国として、学校としての目標を達成するための教育活動として、保護者や同僚に発信できるように・・・。

7つのエッセンスはしばらく試験的な運用からです。各教科の指導計画に組み込み、子どもたちにどんな学びを提供できるのか、またそれらのエッセンスについて練習するには、どのような授業を企画すれば良いかシュミレーションしていこう。

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*1:イエナプラン 共に生きることを学ぶ学校 242項より一部抜粋